ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、遺産総額の全てに対し、相続税が課せられる訳ではありません。実は多数の控除が存在します。各人の相続税額が計算された後、それぞれの税額から控除額を控除して、最終的に税務署に納付する相続税が決定となります。
今回は、『基礎控除』を中心に、他の控除についても詳しく解説していきたいと思います。
基礎控除について
基礎控除とは、『3,000万+法定相続人の数×600万円』が控除されるといったとても大きな控除となります。平成27年1月1日以後から、上記の公式が適用となりましたが、以前は、『5,000万+法定相続人の数×1,000万円』となっていました。
公式を見てもわかるとおり、法定相続人の数が多いほど、基礎控除額は大きくなっていきます。そのため、法定相続人を増やすことで、基礎控除額を大きくしていくことが可能となります。
公式:3,000万+法定相続人の数×600万円
例 法定相続人が2人だった場合
3,000万+2×600万円=4,200万の控除
例 法定相続人が4人だった場合
3,000万+4×600万円=5,400万円の控除
例えば、養子縁組を行うことで、法定相続人を増やすことが可能です。ただ、養子縁組については、デメリットもありますので、注意が必要となります。
他の7つの控除について
- 配偶者控除では、被相続人の配偶者に対し、1憶6,000万円までは非課税となります。被相続人の遺産は配偶者の協力があって形成されたものであることを認めると同時に、残された配偶者の生活保障の観点からも控除が手厚くなっています。
- 障害者控除では、相続人が障害者である場合において、満85歳に達するまでの間、1年につき10万円の控除がなされます。これは障害者の生活保障を考慮しての控除となっています。
- 未成年者控除とは、未成年が成人になるまでの期間に応じて、一定額の税額が軽減されるというものです。未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額となります。
- 贈与税額控除とは、相続開始前3年以内の贈与財産を受けたものが、課税価格に加算された場合、その贈与財産にかかる贈与税を控除できるといったものです。
- 相次相続控除とは、10年間に2回以上の相続があった場合、税負担が軽減されるというものです。父親を亡くして数年後に、母親を亡くした場合などがそれに該当します。
- 外国税額控除とは、外国の財産を相続し、外国の相続税が課税された場合控除されるといったものです。外国でも相続税を支払い、日本でも相続税を支払った場合には二重課税となりますので、控除が認められています。
- 相続時精算課税制度における贈与税額の控除とは、相続時精算課税制度を適用していた場合、相続税額から、相続時精算課税制度における贈与税額を控除するといったものです。
今回は、『基礎控除』を中心に、他の控除についても解説してきました。最後までお読みいただき、有難うございました!