事業を営んでいる方々にとっては、相続による財産の移転に加え、どのように事業を継続させていくべきか、承継をどう行っていくかで頭を悩ませる方も多いかと思います。
今回は、「事業承継の4つのステップとは」を中心に、「事業承継のメリット・デメリット」「(補足)農地の引き継ぎ」についても解説していきたいと思います。
事業承継のメリット・デメリット
親族への事業承継の場合と、従業員への事業承継の場合には、それぞれにメリット・デメリットが考えられます。まずは、親族への事業承継についてです。以下のメリット・デメリットが考えられます。
親族への事業承継
- 関係者から心情的に受け入れられやすい
- 相続による「財産権」の継承となり、コストが少なく済む
- 「財産権」と「経営権」の分離を回避できる可能性が高い
- 経営者としての資質や意欲がない親族を後継者にしてしまうことがある(親族に優秀な後継者がいるとは限らない)
- 相続人同士の対立により、後継者の決定や経営権の集中が難しい
対して、従業員への事業承継については、以下のメリット・デメリットが挙げられます。
従業員への事業承継
- 従業員および同業他社や異業種からのヘッドハンティングなどにより、後継者候補を広く求めることが出来る
- 従業員(役員含む)の承継は、従業員の安心感や経営の一体感を得やすい
事業承継の4つのステップとは
上記では、親族の場合、従業員の場合に分けて、メリット・デメリットを挙げましたが、どちらの場合にも、基本となるステップは共通しています。事業の承継には、以下の4つのステップで考えていくことをお勧めします。
まず1つめのステップとしては、事業全体を見つめ直し、プラスの財産とマイナスの財産の全てを洗い出していきましょう。不動産はあるのか、事業に使用していた動産はあるのかをチェックしていきます。また、各種債権や債務はどうなっているのか、金融機関からの借入金、売掛金・買掛金などの有無にも注目してチェックしていきましょう。
2つめのステップとして、誰が事業を引き継ぐのかを話し合いましょう。事業を引き継ぐことが出来るのは、遺言により事業用資産を遺贈された方か、法定相続人となっています。
3つめのステップは、許認可の取り直しです。個人事業の場合には、申請した本人にしか認められないものも多く、改めて許認可を申請し直す必要があります。
最後のステップとして、各種手続きを行っていきます。例えば、名義変更や登録作業など、事業に沿った各種の手続きに漏れがないかを改めて確認しましょう。
(補足)農地の引き継ぎに関して
通常であれば、農地の所有権を移転するには、農業委員会や県知事の許可が必要となります。しかし、農地の所有者が死亡した場合においては、届出により名義を書き換えることが出来ます。名義を書き換えた場合には、農業委員会への届出が必要になります。相続開始日から10ヵ月以内に届出を行いましょう。
今回は、「事業承継の4つのステップとは」を中心に、「事業承継のメリット・デメリット」「(補足)農地の引き継ぎ」についても解説してきました。最後までお読みいただき、有難うございました!