毎年7月に路線価が公表されますが、じつは路線価については、個人でもインターネット経由で検索が可能です。国税庁の路線価を取り扱っているサイトである「路線価図・評価倍率表」内では、過去7年分のデータが閲覧可能となっています。
あらかじめ相続税を把握しておきたい方や、将来売却するために財産の価値を把握しておきたい方は、その路線価をもとに概算することも可能です。
今回は、「自宅の時価を知るには?」について、詳しく解説していきたいと思います。
国税庁HP「路線価図・評価倍率表」より
そもそも路線価とは
「路線価」は、毎年7月に国税庁により公表されるもので、全国の道路につけられた価額のことを指します。道路を基準として、その道路に面している土地の相続税や贈与税を計算するために用いられます。
似たようなもので「公示価格」というものがあります。公示価格とは、適正な地価の形成に資するため、全国の都市計画区域内等に設定された標準地(平成19年地価公示では3万地点)について、毎年1月1日時点のその正常価格を複数の不動産鑑定士が鑑定し、土地鑑定委員会で審査して決定した価格のことを言います。公共事業のための用地買収価格は、この価格を規準に決めなければならないとされているほか、民間の土地取引においてもこれを指標とするよう努めるべきとされているものです。
「路線価」は、「公示価格」の約8割とされています。
路線価の見方、計算方法について
自宅が面する道路に、仮に「100」と表示があれば、それに1,000をかけて、「路線価は10万円である」と計算します。その場合、自宅が200平方メートルであれば、評価額は、2,000万円となります。
路線価と画地調整について
路線価に、自宅の土地面積を乗じて評価額が計算されますが、土地の形状により、減額される場合があります。それを「画地調整」と言います。例えば、間口が狭い土地や、奥行が極端に長く細長い土地の場合には、使い勝手が悪いこともあり、売買価格は低くなる傾向にあります。そのため、同じ路線価であり、同じ宅地面積であったとしても、形状に併せて補正率を乗じ修正を行います。
価額を増加させる例
■側方路線影響加算
側方にも道路がある角地は利用価値が高く、その分を加算して評価される
■二方路線影響加算
正面と裏面に道路がある宅地は利用価値が高く、その分を加算して評価される
価額を減少させる例
■がけ地補正
がけ地は、通常の用途での利用が難しいため、一定の補正率により減価される
■奥行価格補正
道路に対して、宅地の奥行が長すぎたり短すぎたりして使い勝手が悪い場合、奥行の距離に応じた補正率を路線価に乗じた評価となる
■間口狭小補正
間口が狭く使い勝手の悪い宅地は、間口距離に応じた補正率により減価される
■奥行長大補正
間口に比べて奥行が長い宅地は、一定の補正率により減価される
借りている土地の場合
本人の土地ではないが、その土地を借りており、その上に自宅を建てたケースもあるかと思います。その場合には、土地は所有してはいないものの、借地権を所有していることになります。
借地権はおおきく二つに分類されています。「一般の借地権」の場合、通常の評価額に借地権割合を掛けて評価します。借地権割合は、路線価図や評価倍率表で地域ごとに定められており、借主と貸主の契約によって決まるといったものではありません。
もう一つの「定期借地権」ですが、一般の借地権とは異なり、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新はないものをいいます。土地を貸す側は安心して貸すことができ、借りる側は従来よりも少ない負担で良質な住宅を持つことができます。定期借地権の価額は、自用地としての評価額に、設定年数や残存年数に対応した利率が加味されて求められます。
例:自用地としての評価額5,000万円 借地権割合:80%の場合
評価額=自用地としての評価×借地権割合
=5,000万円 × 0.8
=4,000万円
貸している土地の場合
人に貸している宅地のことを貸宅地といいます。貸宅地の場合には、貸し主の都合で処分したり利用したりすること出来ないため、当然のことながら、自用地よりも評価は低くなってしまいます。貸宅地の場合には、自用地としての評価額に対して、全体から借地権割合を引いた値を乗じて評価額を算出します。
例:自用地としての評価額 5,000万円 借地権割合:80% の場合
評価額=自用地としての評価 ×(1-借地権割合)
=5,000万円 × (1-0.8)
=5,000万円 × 0.2
=1,000万円
以上、簡単ではありますが、
「自宅の時価を知るには?」について、解説してきました。
最後までお読みいただき、有難うございました!