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特別の寄与制度の創設について

平成30年7月に相続法が大きく改正されました。この改正によって、残された配偶者が安心して安定した生活を過ごせるようにするための方策が幾つか導入されることになりました。その一つに、「特別の寄与制度の創設」があります。

今回は、「特別の寄与制度の創設」について、詳しく解説していきたいと思います。

そもそも寄与分とは

寄与分制度とは、そもそも被相続人の事業に関する労務の提供や、療養看護などを行うことによって、被相続人の「財産の維持」「又は増加」について、特別の寄与をした相続人がいる場合には、他の相続人との差分の調整のため、創設された制度となります。

昭和40年頃から、遺産分割に際して、被相続人の財産の維持又は増加に貢献した相続人に対しては、その法定相続分を超える相続財産を取得させている事例が目立つようになり、徐々に定着していきました。定着していた寄与分について、昭和55年の民法大改正において、寄与分の条文が加わり、法令上の根拠が与えられました。

共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定によって算定した相続分に寄与分を加えた額をもつてその者の相続分とする。』

これまでの寄与分制度の問題点とは

前述のとおり、昭和55年の民法大改正において寄与分の条文が加わり、法令上の根拠が与えられ、昭和56年から施行されています。しかし、この寄与分制度も運用が続くにつれて、問題点が露呈していきました。「寄与分は相続人にのみ、認められている」といった点です。

《法務省「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)」資料より抜粋》

上記の図のように、亡き長男の妻が、被相続人の介護に努め、被相続人の財産の維持又は増加に寄与していた場合で考えてみましょう。亡き長男の妻は、自らの精神的、肉体的な老職を費やし、被相続人の介護に尽くしてきたことでしょう。

しかし、遺産分割時において、寄与分を主張したり、何らかの財産の分配の請求をしたりすることが出来ませんでした。「長男の妻は、相続人ではない」といった理由からです。

特別の寄与制度の創設

平成30年度の民法改正により、特別の寄与制度が創設されました。このことにより、相続人以外の被相続人の親族が、無償で被相続人に療養看護を行った場合には、一定の要件の下で、相続人に対して金銭請求が出来るようになりました。

『第1050条1.被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。』

《法務省「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)」資料より抜粋》

寄与の程度とその金額について

今回の改正により、これまでと異なる大きな変化が見られるかも知れませんが、前例を踏襲することも少なくありません。以下、3つの事例を挙げてみたいと思います。

  • 平成 6年7月 横浜家庭裁判所

→被相続人の農業経営に従事した長男Aと、長男の妻Bおよび長男の息子C。長男Aが急死したため、代襲相続により長男の息子Cが相続人となった。その際には、長男の息子Cの寄与分として、長男の妻Bの寄与も含まれるとして、長男の息子Cに、被相続人の遺産の評価額の50%を認めた。

  • 平成12年3月 東京家庭裁判所

→被相続人は、脳梗塞により手足に麻痺が残り、日常的に介助が必要な状態になった。被相続人の妻Aは、日中はもちろんのこと、深夜のトイレまで付き添う等の介助を約7年間行った。履行補助者的立場にある者の無償の寄与行為として、妻Aの寄与分を170万円と定めた。

  • 平成22年9月 東京高等裁判所

→被相続人は、脳梗塞により右半身不随となった。相続人Aの妻Bは、通院の付き添いから、日常的な介助までを、被相続人が死亡するまでの約13年間行った。妻Bの献身的な介護は、相続人Aの履行補助者として、相続財産の維持に貢献したものと評価でき、金銭に換算すると、200万円を下ることはない。

※上記3つの事例は、今回の改正以前のものとなります。そのため、実際に寄与行為を行った者に還元されるわけではなく、あくまでも相続人の履行補助者として位置づけられることで、その相続人の寄与に包含される形となっています。

以上、簡単ではありますが、
「特別の寄与制度の創設」について、解説してきました。

最後までお読みいただき、有難うございました!

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