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自筆証書遺言の方式緩和について

2018年7月6日、民法及び家事事件手続法の一 部を改正する法律(平成30年法律第72号)が成立しました。施行日は原則として2019年7月1日と定められましたが、自筆証書遺言の方式緩和については、同年1月13日と定められており、すでに施行が開始されています。

今回は、「自筆証書遺言の方式緩和」について、詳しく解説していきたいと思います。

遺言の効力について

自筆証書遺言の方式緩和について詳しく述べる前に、知っておくべき遺言の効力について書いてみたいと思います。

民法では、「遺言自由の原則」が認められています。これは、民法のベースとなる「私的自治の原則」の観点から、被相続人の意思表示により法定原則を修正できるといったものです。簡単に言いますと、法定相続分よりも遺言が優先する、ということです。ただし、法定相続人には、最低限の相続分として「遺留分」が認められています。
遺言の効力は、以下の法的行為に及びます。

1.相続に関すること
  • 相続分の指定、指定の委託
  • 遺産分割方法の指定、指定の委託
  • 遺産分割を一定期間禁止
  • 特別受益者の持ち戻しの免除
  • 遺留分減殺方法の指定
  • 相続人同士の担保責任の指定
  • 推定相続人の廃除とその取り消し
2.身分に関すること
  • 子の認知
  • 未成年者などの後見人・後見監督人の指定
3.遺言執行者に関すること
  • 遺言執行者の指定、指定の委託
  • 遺言執行者の職務内容の指定
4.財産の処分に関すること
  • 寄付行為
  • 遺贈
  • 信託の設定
5.その他
  • 祭祀継承者の指定
  • 遺言の取り消し
  • 生命保険金受取人の指定および変更

普通方式遺言と特別方式遺言について

遺言の方式についても、少しだけ触れておきましょう。遺言は、大きく2つに分かれています。普通方式遺言と特別方式遺言です。

普通方式遺言は、さらに3つに分かれます。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。本人が遺言の全文、日付、氏名を自書し押印するのが「自筆証書遺言」です。また、遺言者が口述し、それを公証人が文書にして作成するのが「公正証書遺言」です。「秘密証書遺言」とは、本人が作成した遺言書を封印し、公正証書役場で証明を受けた遺言を指します。

特別方式遺言は、事情により普通方式遺言が不可能な場合の遺言方式です。ゆっくりと落ち着いた状態で作る普通方式遺言が不可能な場合、 緊急に特別で作る遺言のことをいいます。ただし、普通方式遺言が可能になってから6か月間生存した場合は、その遺言は無効となりますので注意が必要です。

改正による変化とは

《法務省「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)」資料より抜粋》

上記のように、改正前の民法においては、遺言書の全文を自書する必要があり、財産目録についても全文自書する必要がありました。全文の自書は相当の負担であり、特に高齢の方にとっては、かなりの労力を要するものでした。

今回の改正により、下記のように、変更となりました。遺言書自体は、自書する必要があるものの、財産目録についてはパソコンで作成することが出来るようになり、通帳のコピーを添付することも認められることになりました。

(変更後)
第968条

  1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  2. 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉に署名し、印を押さなければならない。【新設】

《法務省「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)」資料より抜粋》

これまで、自書していた財産目録については、署名押印をするだけで済みますので、かなりの負担軽減になるものと予想されます。

財産目録について

そもそも、財産目録とは、どのような場合に作成されるのでしょうか。

遺言書には、しばしば「○○をAに遺贈する」とか「△△をBに相続させる」といった記載がなされます。

遺言者が多数の財産について、遺贈等をしようとする場合には、本文において「別紙財産目録1記載の財産をAに遺贈する」「別紙財産目録2記載の財産をBに相続させる」と記載し、別紙として財産目録1及び2を添付した方がシンプルで分かりやすいですよね。

このように、財産が多数に及ぶ場合等に財産目録が作成されるものと考えられます。ちなみに、財産目録は本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成される必要があり、本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできませんので注意してください。

以上、簡単ではありますが、
「自筆証書遺言の方式緩和について」について、解説してきました。

最後までお読みいただき、有難うございました!

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