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自筆証書遺言の保管制度の創設について

前回は、「自筆証書遺言の方式緩和」について述べましたが、今回も自筆証書遺言に関する内容となります。これまでは、自筆証書遺言が自宅で保管されることが多く、紛失や亡失のリスクが非常に高い状態となっていました。また、相続人による遺言書の廃棄や隠匿、改ざんによるトラブルも少なくありませんでした。そのような点を改善すべく、自筆証書遺言の保管制度の創設がなされました。

今回は、「自筆証書遺言の保管制度の創設」について、詳しく解説していきたいと思います。

これまでの自筆証書遺言の保管に対する問題点

今回の制度創設について述べる前に、これまでの自筆証書遺言の保管に対する問題点にはどのようなものがあったのかを挙げていきたいと思います。

第一に、保管場所が自宅や遺言者に関わりのある場所となっており、公証役場で厳重に保管されている公正証書遺言に比べて、隠匿や変造のリスクが高いことが挙げられます。

第二の問題点としては、保管場所が限定されていない事が挙げられます。相続人が遺言書の存在を把握することが出来なかった、というケースは少なくありません。スムーズに遺産分割協議が終了となるはずが、遺言書の発見により、労力が無駄になってしまうといった事もあるでしょう。

最悪の場合ですが、以下の事態が起こってしまう事もあります。封のされた遺言書を見つけた相続人が、家庭裁判所の検認の手続きを経ずに開封して中身を確認したところ、内容が自身に不利なものであったため、勝手に廃棄してしまうというケースです。ありえない行為ですが、今までの自筆証書遺言の保管においては、このような事が起きてしまう可能性があったのです。

自筆証書遺言の保管制度の創設とは

前述の問題点を改善するべく、自筆証書遺言の保管制度が創設されました。この制度により、自筆証書遺言を作成した者が、一定の公的機関に遺言書の原本の保管を委ねることが可能となりました。
法的には、民法における新たな条文の新設ではなく、「法務局における遺言書等の保管等に関する法律」が創設となりました。この法律では、法務局における遺言書の保管や情報管理について、必要な事項を定めています。

《法務省「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)」資料より抜粋》

遺言書の保管の申請について

遺言書の保管ですが、法務大臣の指定する法務局が「遺言書保管所」として事務を行います。それぞれの法務局の規模に加えて、事務処理能力が考慮されるので、すべての法務局が「遺言書保管所」とはなりません。注意が必要です。遺言書保管所における事務は、「遺言書保管官」が行います。「遺言書保管官」は、法務局長または地方法務局長によって指定されます。

具体的な遺言書の保管の申請ですが、遺言者は、「遺言書保管官」に対して申請を行うことになります。保管の申請の対象となるのは、民法第968条の自筆証書によってした遺言(自筆証書遺言)に係る遺言書のみとなります。

申請の際には、遺言書保管書に遺言者自らが出向く必要があります。そのため、入院中の場合や、施設等に入所中の場合には、この制度は利用できません。

また、遺言書は封のされていない法務省令で定める様式に従って、作成する必要があります。遺言書保管官が、遺言書情報の一部をデータ化する必要があるため、「無封」とされています。データ化の対象となる情報としては、以下のようものがあります。

  • 遺言書に記載されている作成年月日
  • 遺言者の氏名・出生年月日・住所・本籍地
  • 遺言書の保管を開始した年月日
  • 遺言の画像情報 etc

証明書の交付について

遺言者の死亡後に、相続人や受遺者らは、全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうかを調べること(「遺言書保管事実証明書」の交付請求)、遺言書の写しの交付を請求すること(「遺言書情報証明書」の交付請求)ができ、また、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。

これまで、自筆証書遺言については、その遺言の有無を検索するシステムが存在していませんでした。例えば、公正証書遺言については、どの公証役場においても、「遺言検索システム」によって、遺言の有無の照会が行われていました。

今後、公正証書遺言のように、自筆証書遺言においても、検索システムが積極的に活用されていくのではないでしょうか。

《法務省「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)」資料より抜粋》

注意点について

遺言書の保管者、または、遺言書を発見した相続人は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、その「検認」を受ける必要があります。しかし、遺言書保管書に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要となります。

検認が不要であるということは、家庭裁判所が遺言書の状態を確認する必要がないということですが、それ自体が、遺言の有効性を担保するものではありません。この点においては、非常に注意が必要です。

以上、簡単ではありますが、
「自筆証書遺言の保管制度の創設について」について、解説してきました。

最後までお読みいただき、有難うございました!

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