相続時に引く次ぐ財産として多い不動産。現在、国内外を問はず、不動産投資が活発になっていますので状況の把握が欠かせません。今回は、日本不動産研究所が2019年5月にプレスリリースした情報を共有したいと思います。
投資用不動産について
2019年5月における不動産投資家の期待利回りは、前回比で「横ばい」となる用途や地区が多くみられています。日銀の量的緩和などのアベノミクス以降、不動産投資市場は活況な状態が続いていますが、投資利回りの過度な低下など不動産投資市場の過熱を懸念する声も一部にあります。
このようなことが、影響したと考えられますが、「丸の内、大手町」は前回と同じ3.5%となり3 期連続での横ばいとなっています。一方で、オフィスの中でも、東京の「虎ノ門」「西新宿」、地方都市の「札幌」「仙台」「大阪(梅田)」「広島」などでは前回比0.1 低下となり、「横ばい」と「低下」とが混在するまだら模様の状態となっています。
不動産投資家の今後1 年間の投資に対する考えとしては、「新規投資を積極的に行う」が94%で前回調査よりも4%上昇しています。一方で、「当面、新規投資を控える」の回答は6%で前回調査より1% 低下しています。
世界経済に対する先行き懸念が一部で指摘されているが、国内の不動産投資市場に直接的に影響する懸念材料はまだ少ないとみられており、不動産投資家の積極的な投資姿勢が維持された結果となっています。
期待利回り
「東京」の「城南」地区では前回比で0.1 ポイント低下し、4.3%となり、本調査で過去最も低い水準を更新しましたが、その他の地区では、全体として、「横ばい」となる地区が多くみられました。
商業店舗の期待利回りですが、都心型高級専門店では、東京「銀座」が3.4%となり、こちらも前回同様に「横ばい」となっています。その他の地区でも「横ばい」が多く、郊外型ショッピングセンターでも前回比「横ばい」の結果となりました。
物流施設・倉庫の期待利回りは、「東京(江東区)」、「名古屋(名古屋港)」、「大阪(大阪港)」、「福岡(福岡港)」などで前回比「横ばい」となっています。宿泊特化型ホテルの期待利回りについては、2020 年の東京五輪が近づく中で、「東京」の期待利回りが4.4%で前回比0.1 ポイント低下となりましたが、その他の地区の多くは「横ばい」となっています。
今後1年のトレンドについて
「新規投資を積極的に行う」の回答が94%(前回90%)で、全体として、不動産投資家の新規投資意欲は、積極的な姿勢が示されています。マーケットサイクル(市況感)に対する調査についても、東京・大阪のいずれも、「現在」及び「半年後」について「拡大期」とする回答が多数を占めました。
日本の不動産投資市場の現状認識について、「ピークに達している」との回答が77.4%で最多でした。また、上記で「ピークに達している」とした回答者のうち、その理由については、「著しく低い利回りによる取引が多く出現している」が73.7%でした。この数字には注意を払う必要があるかと思います。
国際不動産投資についてですが、今後10 年間を見通した場合、海外投資を行うにあたり、最も有望と思う都市は「ニューヨーク」が最上位で、「ホーチミンシティ」「ロサンゼルス」「ジャカルタ」「バンコク」が続く結果となっています。また、今後10 年間を見通した場合、対日不動産投資が現在よりも増えると思う国・地域は、「中国」が最上位で、「米国」「シンガポール」「韓国」「香港」「台湾」が続く結果となっています。
海外投資家からの評価が高い日本の地域(東京を除く)としては、「大阪」が最上位で、「横浜」「京都」「福岡」が続いています。
まとめ
・「新規投資を積極的に行う」が94%で前回調査よりも4%上昇
・期待利回りは全体として「横ばい」
・海外投資を行うにあたり、最も有望と思う都市は「ニューヨーク」
以上、簡単ではありますが、
「不動産投資のトレンドについて」をお伝えしました。
最後までお読みいただき、有難うございました!