相続について、代表的なものに不動産があります。
しかし、多くの方が、家屋や土地の相続税について、知らないことの方が多いように見受けられます。
今回は、「意外と知られていない!?家屋や土地の相続税について」書いていきたいと思います。
そもそも相続税の納税が必要なのか
亡くなった方の財産である「遺産」は、遺産相続により、家族などが引き継ぎます。遺産相続の対象となった財産の金額が一定以上であれば、「相続税」が課金されます。
財産には、プラスの財産とマイナスの財産がありますが、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた遺産総額から、さらに基礎控除を引いたのち、一定額を超えた場合には、相続税が課されることになります。基礎控除の金額は、遺産を受け取る権利のある「法定相続人」の人数により異なります。例えば、法定相続人が5人の場合には、基礎控除額は6,000万円となります。
例:基礎控除額=3,000万円+600万円×5人=6,000万円
遺産総額から、基礎控除を差し引いた金額が、相続税の対象となり、この金額が0円以下の場合には、相続税を納めることも、申告をする必要もありません。
家屋や土地の金額の評価について
家屋の評価はとてもシンプルであり、自分で利用している家屋については、固定資産台帳に載っている「固定資産税評価額」が、相続税における評価額になります。「固定資産評価額」は、実際の価値よりも若干低くなっていることが多いと言えます。
土地の評価ですが、土地は、所在地によって、評価方法が異なります。土地が市街地にある場合には「路線価方式」という基準が適用されます。また、市街地にある場合には、「倍率方式」が適用されます。「路線価方式」では、土地自体の評価ではなく、隣接する道路に対する「路線価」を基準として評価されます。「倍率方式」では、その土地の固定資産税評価額に、その土地の地区と種類ごとに定められた倍率をかけて評価額が計算されます。
「路線価」と「倍率方式」で利用される倍率については、国税庁のホームページで確認することが可能です。
自分が利用している不動産と貸している不動産の評価額の違い
同じ不動産であっても、自分が利用している場合と、他人に貸している場合とでは、評価方法が異なります。他人に不動産を貸している場合には、借主が「借地権」や「借家権」をもっている状態になるため、簡単に売買したり、利用したりすることができない、といったデメリットが生じます。そのため、他人に貸している状態の不動産については、借地権割合や、借家権に該当する金額を控除した金額が、その不動産の評価額となります。
例えば、貸家の評価額ですが、東京都の場合、借地権割合が30%に設定されています。そのため、評価額を求める公式は以下のようになります。
貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-0.3)
公式を見て、気づいた方もいらっしゃるかと思いますが、貸家の場合には、自分で利用している場合と比べて(自用家屋)、70%の評価額になってしまいます。
他人に貸した土地については、土地の上に建っている家屋が誰のものかによって、評価方法が異なります。他人に貸した土地の上に借主の建物が建った場合、その土地は「貸宅地」と呼ばれます。また、家屋自体も貸主のものである場合には、その土地は「貸家建付地」と呼ばれます。
その土地に対して、借主の持つ権利割合のことを「借地権割合」と呼び、地区ごとに異なりますが、60%から80%になる傾向にあります。結果的に、貸宅地の評価額は、以下のようになります。
貸宅地評価=自用地の評価額×(1-借地権割合)
小規模宅地の評価減とは
一定の要件を満たした土地であれば、相続税の対象となる評価額を50%から80%下げることが可能な制度となります。制度概要としては、以下のようになります。まず土地の用途としては、居住用、事業用、貸付用の3つの種類に分けられます。
「居住用の土地」については、被相続人と同居していた配偶者や親族がその居住用の土地を相続した場合や、被相続人が生計をともにする親族の居住用に土地を貸し付けていてそれをその親族が相続した場合など、要件に該当すれば、土地の評価額は80%減額させることが可能です。(330平方メートルまで) つまり、その部分については、適用前の評価額の20%の金額で良いということになります。
「事業用の土地」についてですが、被相続人が不動産賃貸業以外の事業を営むのに使っていた土地を親族が相続するなど、一定の要件に該当する場合には、400平方メートルまで、その土地の価額を80%減額することが可能となります。
「貸付用の土地」については、被相続人の親族が相続している、申告期限までに不動産賃貸業を親族が引き継いでいるなどの要件を満たした場合には、200平方メートルまでの土地を50%減額することが可能となります。
小規模宅地の減額を受けるには
小規模宅地の評価減を受けることにより、課税資産総額が基礎控除よりも低くなれば、相続税を納める必要はなくなります。ただし、この特例を受けるためには、申告期限までに相続税の申告書を提出する必要があります。提出して初めて、その適用を受けることが可能となります。
そのため、概算で相続税額がゼロであった場合にも、申告期限まで相続税の申告を行う必要があります。申告書を提出しなかった場合には、相続税の納税額が発生してしまうこともありますので、注意が必要です。
まとめ
・基礎控除の金額は、遺産を受け取る権利のある「法定相続人」の人数により異なる。
・家屋の評価について、自分で利用している家屋は、固定資産台帳に載っている「固定資産税評価額」が、相続税における評価額になる。
・土地の評価は、所在地によって、評価方法が異なる。土地が市街地にある場合には「路線価方式」という基準が、市街地にある場合には、「倍率方式」が適用される。
以上、簡単ではありますが、
「意外と知られていない!?家屋や土地の相続税について」を解説してきました。
最後までお読みいただき、有難うございました!